卒業論文のファイルが開かなくなった,うっかりファイルを消してしまった,パソコンが壊れてファイルが消えてしまった……。昔からよく聞く話です。

大事なファイルは必ず別の場所にコピー(バックアップ)をとっておくようにと言われても,作成中の卒業論文のように,頻繁に更新されるファイルのバックアップをその都度いちいち作成するのはかなり面倒です。その結果,いつの間にかバックアップはおろそかになり,油断した頃にファイルが壊れたりするのです。

そのようなことを防ぐためには,ネットワークを利用したファイル同期ソフトが便利です。ネットワーク上にコピーがあれば,自宅からでも学校からでもネットワークにつながったパソコンからそのファイルを取り出すことができますので,「パソコンが壊れてファイルが消えた」といった事態を防げます。ネットワーク上にファイルを保存すると聞いて安全性を心配する人がいるかもしれません。しかし,IDとパスワードをきちんと管理する,万が一にも他人に見られては困るようなプライベートなファイルでは使用しない,といったごく基本的なことさえ守っていれば,安全性についてはまず問題なく,非常に便利で有用なツールだといえます。

ネットワークを利用したファイル同期ソフトの代表的なものとしては,Dropbox(ドロップボックス)があります。このソフトは,ネットワーク上にファイルのコピーを作成し,パソコン上のファイルと同期をとってくれるものです。たとえば,自宅でファイルに変更を加えると,ネットワーク上に保存されたファイルも自動的に更新され,パソコン上にある最新のファイルと同じものになります。また,自宅以外の場所でファイルを修正した場合も,修正したファイルをネットワーク上のフォルダにアップロードしておけば,その変更が自宅パソコンのファイルにも反映されて,パソコンのファイルが最新に保たれます。

ファイルの同期機能だけでも十分便利なのですが,Dropboxではファイルの変更履歴も保存してくれますので,過去にさかのぼって古いファイルを取り出すことも可能です。たとえば,論文修正している間に収拾がつかなくなってしまったので以前のファイルにいったん戻したいといった場合,最新のファイルしか残っていなければ,もうどうしようもありません。このような場合でも,Dropboxなら数時間前,数日前にさかのぼって過去のファイルを取り出すことができます。

なお,Dropboxでは無料で使用できる容量は5GBまでですが,マイクロソフトのOffice365には教員や学生向けにOneDriveというDropboxネットワークディスクを1TBまで無料で使用できるプランがあります。

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